絵を描いてダイエットして幸せに生きる

イチゴ農家でアルバイトしてきた話2【出荷前の準備編】

samune

馬鹿とハサミは訓練次第でどうとでもなる

ハイどーも。管理人のサンマスターです。前回は自分の紹介をした。自分がいかに屑で社会に対していいイメージがないことが分かったと思う。今回は初仕事のことを記そうと思う。

イチゴの仕事をするといっても、実際のところ何をすればいいか全くわからなかった。なのでとりあえず水筒を持っていくことにした。仕事場へは自転車で1時間半程度かかったが、以前の職場と比べるとその程度のこと何とも思わなかったし、ダイエットになるわぁとも思っていた。

そんなこんなでチャリを漕ぎつつ畑へ向かうとおじさんが出迎えてくれた。そこでまずはどの程度の期間仕事をするか聞かれた。そういう話を聞いてから、あぁ自分はバイト君扱いなんだと気づいた。当然の扱いだったのだが、心のどこかでもう一生農家でいいやと思っていただけにこの会話は結構こたえた思いでがある。それでも時給は1000円だったので、前向きにやりたいことが見つかるまでみたいな感じで曖昧に答えた気がする。振り返ってみれば、おじさんもこんな奴が1ヶ月も耐えれるものかと思っていたのかもしれない。

そうして初めての仕事なのだが、ハウスの横のマルチビニールに切れ込みを入れ、割り箸をぶっさす仕事だった。ハウスの周囲に雑草が生えないようにマルチを張らなければいけないが、そのままではハウスの鉄骨が邪魔で張ることができない。そこで、鉄骨に引っかかる部分に切れ込みを入れㇵの字型にして避けるようにしく。その後、地面が露出している部分にマルチの切れ込みを挟むことで完全に地面を見えなくするのだ。

単純な仕事であるが加工する量が半端ない。ハウスの長さは約90mで鉄骨は50cmごとに並んでいる。鉄骨と鉄骨の間にも内側に鉄骨がある場合も考えると単純計算で200回以上の加工が必要になる。ハウスは8棟ある。更に親株分の列があるので、20列分これを行う。ほかの人は別のことしており、友人とその祖母が数列行ったが大部分は自分がすることとなった。

さて、自分はこの作業で無能さを再び自覚することになる。まずほかの人の速さが半端ない。同じ時間で自分の3倍近くこなす。この単純作業でどうしてここまで差がつくのか理解不能だった。速さの秘訣は最初分からなかったが、自分のできない点はよくわかった。ハサミでマルチが切れないのだ。わかる人は分かるが、薄いビニールをそのまま切るのは結構難しい。切り込みさえ入ってしまえば楽だか、その切込みがなかなか入らない。

初めの数列はトロ臭く、流石にまずいと思ったので、改善点を考えることにした。ほかの人のやり方を見てみると、どうやら切る際にビニールをまとめてから切っている。なるほどそれなら厚みが出来て切りやすくなる。早速実践してみると明らかに効率が違った。こんなことさえすぐ思いつかないのが無能たるゆえんである。

それでも3倍の差が2倍程度になっただけなので、別の違いを見ることにした。上手い人のまねはそれだけで効率が上がる。偉大である。まずは作業の姿勢。ヤンキース座りより腰を深く下げ、前かがみになる。その姿勢のまま、マルチの切れ端を一枚あらかじめ鉄骨のそばに置いておく。割り箸は邪魔にならない程度に複数本左手に握っておく。マルチを束ねて切った後、右手であらかじめ置いておいた切れ端を差し込み、割り箸を指していく。実に滑らかな手つきだった。

さて、自分も真似するかと思ったが、初めのかがむ姿勢ができない。農家は柔軟である。一つ学んだ。代用として車輪付きの椅子(コロコロと呼ばれている)に座ることにした。結果として、移動の際の時間が短縮できたためよしとする。手についても見様見真似だったが回数を重ねるごとに早くなっていったのを感じた。最終的には、ちょっと遅いくらいになったと思う。

これは持論だが、単純作業というのはコンマ秒の短縮が重要だと考えている。例えば0.1秒作業の短縮ができたとして、その作業を3000回行うとするすると300秒の短縮をしたことになる。それだけあれば、お茶を飲み、トイレに行き、雑談をすることができる。そしてその精神的余裕がさらなる効率化を生むのだ。

と、いうわけで無事に作業ができるようになった……となればよかったのだが、後で切り込みが大きすぎたり、止め方が雑だったりと指摘され、後に横から雑草が生えてるのを見て申し訳なく感じるのはまた別のお話。

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