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イチゴ農家でアルバイトしてきた話5【地獄門前編】

samune

落ち着け。まだあわわわわわわわわわわわ

ハイどーも。管理人のサンマスターです。前回は腹決めてバイトしていくぜっていうところまで書き記した。今回はイチゴの出荷について書いていこうと思う。

ハウスが立ち、畝にマルチを張り、ストローマットを置き、花の向きをストローマットに向け、イチゴの木の手入れがある程度終わったところまで時間は進む。11月末くらいだっただろうか。イチゴの実がなり始める。ここで面白い方向で学びを得ることになる。イチゴのイメージといえば三角錐の角が取れた感じだと思う。しかし、自分が初めて見たイチゴは台形や、クソデカい三角形。もしくは丸に近いものだった。具体的な大きさは、男性の手のひらよりも一回り強小さいくらいか。とにかくでかかった。

曰く、イチゴの実のなりには波があるらしい。シーズン一番初めに咲く花は一番花。その中で最も大きく早くなる実が頂花といわれる。○番花は頂花よりも大きくならず徐々に小さくなる。そしてまた一時期ならなくなった後、2番花、3番花というようにまた実が大きくなって現れては縮んでいき……と繰り返していく。

そしてならなくなった時期に、なった後の枝(ガサ)をとり、撤花を行う。少しでも栄養を次の花に送るためだ。これをするのとしないのとではイチゴの質に大きく差が出る。そして花を前面に出し(花出し)次のイチゴに備えていく。花出しをしなければイチゴが葉に隠れふやけたり、カビの原因になる。

自分はイチゴの大きさにビビッていたが、ベテランたちに言わせると小さい方らしい。この年は暖冬であったため、大きくなる前に実が赤くなったとか。更に何十年の一度の大洪水で畝が流され、土壌が固くなりイチゴの質が悪いらしい。売り上げがみ込めないとのことだったが、何とか実がなったのは異常とのことだった。更に暖冬とこの先の未曾有の事態により、少しだけバイトに影響が出ることを自分はまだ知らない。

さて、話を戻してイチゴを摘む作業について書かねばならない。基本イチゴは触ってはいけない。触れただけで傷がつくからだ。触った直後は分からないが、時間が経つと跡が出てくるらしい。なので基本はヘタの根元の部分をつまむように持ち手首のスナップを効かせてとっていく。形によってはハサミを使って切った後回収する。それでもやっぱり触ってしまう。おじさん曰く、超ベテランになるとすべての実を素手で、全く実を傷つけずに回収できるらしいが、念能力でも使っているのだろうか。

回収した実はケースに置いていく。置き方にも工夫があり、パックに詰める際、楽に詰めれるようにひら詰めとレギュラーサイズのイチゴを分けておいておく。イチゴの形はバラバラであるためケースに隙間なく詰めるのは難しい。ベテランたちのケースは美しく隙間がない。こればっかりは慣れなのでどうしようもなかった。

そうしてケースに置いた後、パックに詰める作業をする。イチゴの規格ごとにイチゴを詰め、レッテルを張り、段ボールに詰める。一定数詰めた後は冷蔵庫に置きに行く。これを永遠繰り返す。

イチゴはサイズのほかに形を判断基準にする。めちゃくちゃデカくて形も三角錐型のイチゴは最高級品DX規格。大きくても形が悪ければG規格など。そのほかにもL品(みんなが思う普通のイチゴ)2種類とA品(形の悪いLもしくはM品)2種類。先が青い丸G。L品よりさらに小さいM品(ケーキに乗ってるやつ)。もっと小さいS品(ジャム扱い)。先が青く小さいB品がある。

自分はレッテル張りを担当した。作業は簡単だが、4人分をするとなると気が滅入る。少しでも遅れるとテーブルにレッテルを張っていないパックが溢れ、作業に支障が生じるからだ。初めは規格の判断ができずに時間がかかった。詰める人によって同じような詰め方でもLと言ったりAというからだ。また、見分けづらい詰め方をする場合もある。そんなわけで、時間の短縮にかなりの試行錯誤を労したが最終的には何とか溢れさせずに作業を完遂できた。

そんなこんなで、ひとまずしばらくは同じ流れで作業することになる。だが自分はまだ知らなかった。ここからが地獄の始まりだということを。

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