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【ライトノベル】狂乱家族日記1巻 感想 あらすじ

ハチャメチャ家族コメディに見せかけた何か深いお話

ハイどーも。管理人のサンマスターです。久しぶりに本屋のラノベコーナーに寄ってみたら、本のタイトルが長すぎてびっくりしました。最近のラノベの流行りについていけそうな気がしない……。

さて、今回はそんなライトノベルで、自分が見ていた時期に一番お気に入りだったシリーズの紹介をしていこうと思います。

そのライトノベルというのが狂乱家族日記といライトノベルです。今回はその第一巻についてお話していこうと思います。

作者・作品紹介
このライトノベルは2005年に刊行された古い書籍です。第6回エンターブレインえんため大賞(佳作)受賞作品で、著者は日日日(あきら)先生です。2019年現在日日日先生はあんスタやプリコネのシナリオ担当をしております。
 
古いラノベではありますが、今読んでも心に来る言葉やシーンがたくさんあります。
 
主要人物
さて、早速この本の紹介をしていこうと思うのですが、まずは主な登場人物の紹介をしましょう。
 
それでは、イカレタ家族の紹介をするぜ!この物語は7人の家族が集まる瞬間から始まるッ!その7人は以下の7人だ!!
  • 母:乱崎凶華[きょうか](見た目がロリの猫耳人間)
  • 父:乱崎凰火[おうか](自分のことを一般男性と思っている超人)
  • 長男:乱崎銀夏[ぎんか](オカマの若頭)
  • 次男:乱崎帝架[ていか](しゃべるライオン)
  • 三男:乱崎雹霞[ひょうか](最強の生物兵器)
  • 長女:乱崎優歌[ゆうか](本当に一般的な9歳の子供)
  • 次女:乱崎月香[げっか](クラゲ)

はい。お察しの通り彼らは本当の家族ではありません。しかも全員何かしらの闇を抱えているというおまけつきです。さらに凰火以外は本名ではありません。というかしゃべるライオンとか猫耳人間とかいる時点でおかしいですね。いったいどんな世界観なんだと思いますので、そこの紹介からしていきましょう。

あらすじ(前半)
第一巻は家族が集合する前半と優歌の物語の後半に分かれます。
 
舞台となるのは架空の国家で、地下帝国やら宇宙人が当たり前のように存在しています。当然そんな混沌とした世界の秩序を守るため超常現象対策局というのが存在します。
そこに部隊長として所属する凰火が上司から特殊任務を言い渡されます。その特殊任務とは、凶華と結婚することです。
 
すっごくいきなりな話ですよね。ですが当然理由があります。
というのもこの世界1000年前に閻禍(えんか)と呼ばれる化け物がいまして「1000年後に自分の子供が世界に絶望をもたらす」と予言したんです。そして1000年後DNA鑑定の結果7名?の生物が選び出されました。その中には子供や貴重な生物もいるからでしょうか、皆殺しにするのは惜しいと思い、7名で家族ごっこを演じ、閻禍の子供を特定し、更には「世界を壊したくないなぁ」と思わせるための「なごやか家族作戦」を実行したのです。
 
さて、そんなこんなで二人は結婚するのですが、凶華はえらくぶっ飛んだ性格で、自分は神で何をしても許されると思っており、非常に不遜な性格をしております。
 
無銭飲食(自覚なし)をし、凰火に手をつかまれた際に
 
「その醜くも穢れ切った指先で凶華様のたおやかな御腕をつかむという冒涜的行為を今すぐやめろこのユダ的背徳者」
 
と罵倒します。更に凶華はテレパシーで相手の脳内にテレパシーを飛ばすことができる携帯電話という能力をもっており、卓越したセンスの罵倒を無理やり脳内に流し込み警官の精神を粉みじんにしました。というのも凶華は生まれた時から地下帝国で神として崇められており、好き放題やっていたので、こんな自己中心的な性格になったのでした。しかし、そんな凶華だからこそこの家族という身近に感じる絆を大切に思っており、なごやか家族作戦にまんざらでもない様子も見せます。
 
そんなこんなで凶華は、凰火と町中に散らばっている残り5人をどちらが多く見つけられるかの競争を始めます。これがただのかくれんぼならよかったのですが、そこは狂乱家族。次男(ライオン)と三男(生物兵器)のもとに行くと、殺し合いを始めようとしています。普通なら即刻逃げ出すと思うのですが、凰火も狂乱家族。一瞬で彼らの間に入り、仲を取り持ちます。その後も凰火が父親としての役割をしっかりと果たし、なんとかなごやか家族作戦が始まるのでした。
 
 
 
あらすじ(後半)
後半は優歌がメインのお話です。さて、優歌ですが家族になる前は姫宮零子として生きていました。姫宮の一族は鬼の一族といわれる財閥集団で、優歌はその中でひどい虐待を受けて生活していました。そのため人の視線になれておらず、学校で失敗を繰り返しいじめられてしまいます。
 
その中で優歌は姉の姫宮千子と出会います。そして千子から姫宮に戻るよう言われます。あなたは普通の人と同じように生きられないと。鬼の血が混じっているのだと。千子は子供の純粋さを利用し、いじめはより苛烈になり、耐えきれなくなった優歌は部屋に引きこもってしまいます。
 
引きこもった優歌に対し家族たちはいろいろと言葉を投げかけます。家族の努力の結果、優歌は本音を漏らし始めます。自分が閻禍の子供なんだ。自分は死ぬべき存在なのだと。それでも、それをわかっていても——
 
死にたくない と。
 
短い間だったけれど普通の家族を知ってしまった。なんて暖かいんだろう。幸せなんだろう。死にたくない。もっと生きていたい。でも自分にはどうすることができない。ただの弱い子供だからと。
 
当然そこで終わらないのが狂乱家族。凶華たちは立ち上がります。これからの作戦をと呼んで。宴の開始の合図はこの言葉です。
 
「頼もしいことにこの凶華様は全知全能だぞ!!」
 
 
まずは学校のいじめをなくすべく立ち上がります。そうして優歌の学校生活を取り戻した後、原因の一つである千子を捕縛して殺そうとします。殺される寸前、千子はつぶやきます。
 
死にたくない――と。
 
優歌が姫宮を去ったあと、虐待されたのは千子だったのでした。彼女も彼女でつらい目にあっていたのです。実の妹を犠牲にしてでも助かりたい程に。
 
そこから凶華は姫宮にカチコミをかけます。はい。文字通りカチコミです。相手は大財閥姫宮。しかし狂乱家族は圧倒的な力をもって制圧します。だれも雹霞や帝架、凶華には勝てません。しまいには屋敷を爆破します。まぁ、凶華側には姫宮よりも大きな力をもつ超常現象対策局がいるので、最終的には姫宮が潰れただけで、家族にはお咎めなしです。
 
ついでと言わんばかりに、DNAを調べる際に細工をし、本当の一般人である千子を閻禍の子供と誤認させ、乱崎千華として家族に迎え入れてめでたしめでたしとなります。
 
感想
凶華のやってることはめちゃくちゃですが、その根底には常に優しさがあります。優歌も千華もとても弱い人間です。自分一人では泣くことしかできません。当たり前ですよね。大きな力の前にただの人間では何もできません。
 
そんな弱者の手をぶっ壊れたラジオのように笑いながらつかんで、ジャイアントスイングしてくれる人がいたらこんなに頼もしいことはないですよね。そしてそんなめちゃくちゃな凶華についてくる狂乱家族たちもまた、家族のことを大事に思っています。
 
血はつながっていなくても、つながっている家族より家族らしい。家族って何なんでしょうか、ということを考えさせてくれます。
 
狂乱家族日記はそんな家族の日常を、巧みな言語センスと痛快な構成で表現しています。ぜひとも一読し、自分の周りの大事な人のことを考えてみてほしいです。
 
それでは最後に、この一冊のなかで最も印象に残った一言で終わりたいと思います。今回はこの辺りで、次回もよろしくお願いします!
 
「——造り物だけど、幻ではないよな、我々の家族は。幸福で——価値がある、そんな家族だ。凶華様はな、そんな家族の一員になれて嬉しい。本物の幸福。思うにそれを探して凶華様は故郷を捨てたのかもしれない。あの腐敗した天国には幻の幸福ばかりがあったけど——価値はなく、本物でもなかった。凰火、気づいているか?」
 
凶華は凰火をみた。
みたこともないうつくしい笑顔で。
 
 
「我々はきっと、世界で一番幸福だぞ」